現代の企業にとって、急速に変化するグローバルITのトレンドに順応する能力があるかどうかは、企業存続にとって必要不可欠となっています。日本のビジネスがどれだけ迅速に変化に対応できるか、そのことが、企業の中長期的な成功を左右するものといっても過言ではありません。
デジタルトランスフォーメーションの流れがますます加速するにつれて、各企業はそれを受け入れ、顧客が競業他社の成長に遅れないように対応していく必要があります。
企業は、様々な方法でこのようなDX改革を実施することが出来ます。その中でも、ローコード開発を使用することは企業が他社から前進するための最適なアプローチとなってきております。
ローコード開発とは?
ローコード開発とは、開発において企業が必要なコーディングを制限して、DXを促進するソフトウェア開発へのアプローチです。 これは、従来のテクノロジーや新たな広範なIT事業に依存することなく、革新的なアイデアを市場に投入できる製品に変えるための、これまでとは大きく異なる手法です。
ローコードは、モデル駆動型のドラッグ・アンド・ドロップ・インターフェースで動作するため、開発経験のない人を含め、あらゆる開発スキルレベルの人が、ローコード開発ソリューションを使って価値主導型のデジタル・ソリューションを構築することができます。 開発からデプロイまで、ローコード開発プラットフォームは、変更のビルドとデプロイに必要な時間が短縮されます。
Gartner2022は、ローコード開発市場が2022~23年に23%成長すると予測しています。 Gartnerの最新の予測によると、世界のローコード開発テクノロジー業界の価値は2023年に138億ドル規模になり、2021年から23%増加します。
ローコードプラットフォームの特徴とは?
ローコード開発ツールにより、企業はコストや時間をかけた複雑な開発プロセスを行う必要なく、 新しいデジタル顧客体験を展開することができます。
ビジュアル・モデリング・ツールからAPIまで、ローコードプラットフォームは、直ちに使用できる一連の機能を企業に提供します。
ビジュアルモデリングツール
ビジュアルモデリングとは、ソフトウェア設計を把握するために、リッチでグラフィカル及び設計要素を使用することです。 最も一般的なビジュアルモデリングツールは、ユーザーインターフェース、 ワークフロー、データモデルを作成するために使用できるドラッグアンドドロップエディタです。
コードは必要なく、構文ミスのリスクもありません。つまり、即座にクロスプラットフォームで利用でき、再利用性が高く、更新も容易に行えます。 手書きのコードを追加してさらにカスタマイズすれば、デジタル・ソリューションの完成は数年から数日~数週間単位で完成します。
統合とAPIs
既製のコネクターを使用することで企業はシステムを接続し、データを一元化し、サードパーティアプリケーションとのシームレスな統合を実現できます。
また、APIプロトコルを使用してカスタム統合を作成し、データ取得から構造/データベースの更新を自動的に処理し、イベントや事前に定義されたビジネスルールに基づいてワークフローを起動することもできます。
OpenAPIとビジュアルモデリングツールを組み合わせることで、新しいデジタル体験の創造とレガシーシステムをより近代化することができます。
人工知能
企業はより良いユーザー体験を確保するために、分類やスコアリングの推奨など、組み込みAI機能を使用します。それにより、顧客インサイトを即座に発見し、データに基づく意思決定を行うことができます。これが、より良いユーザーエクスペリエンの確保に繋がるものとなります。
また、企業はデータサイエンティストを雇用せずに、少ないコード要件で正確な予測を生成する機械学習モデルを構築することもできます。その上で、チャットボットを作成し、自然言語処理ツールを使用して感情分析を行うこともトレンド化しております。
ガバナンスツール
ビジネスユーザーをデジタルトランスフォーメーションの旅に招待する。 適切なローコード・ガバナンス・ツールを導入することで、ビジネス全体のイノベーションと開発の成長を促進することができます。
まずはユーザーロールを作成し、アクセス権を管理。後に、アプリケーションの承認プロセスを設定し、組み込みのアプリケーションおよびインフラストラクチャ監視ツールを使用します。 また、自動生成された推奨機能を使用することで、アプリやワークフローを最適化し、パフォーマンスを向上させることもできます。
セキュリティ
既製のセキュリティツールを使用することで、企業は安全なアプリケーションを構築し、業界標準に準拠していることを確認し、アプリケーションのすべてのレベルでセキュリティを構成することができます。
ローコードの開発プラットフォームで、ビルトインセキュリティツールは、プラットフォーム上のすべてのアクティビティに可視性と洞察を提供し、GDPRなどの最高レベルの認証と認定を受けています。 また、ベンダーは定期的に侵入テストや脆弱性スキャンを実施するため、より速いスピードでソリューションを開発することができます。
アプリケーションライフサイクル管理
ローコード開発プラットフォームは、ビジネス要件の分析、開発から継続的なメンテナンスに至るまで、アプリケーション管理プロセスの簡素化と合理化を支援します。
要件・チームを管理し、ユーザーストーリーを作成し品質保証と展開プロセスを自動化できます。ビジネスは組み込みのフィードバックツールを使用し、より多くのアプリ内フィードバックを収集することを可能にします。
ローコードプラットフォームを使うメリットは?
デジタルトランスフォーメーションの迅速化から生産性の向上まで、ローコード開発アプローチにはいくつかのメリットがあります。
デジタルトランスフォーメーションの加速
何よりもまず、ローコードプラットフォームはデジタルソリューションの開発と提供をスピードアップします。これは、企業側が従業員や顧客の要求に応えなければならない不可欠な要素です。
ローコード開発により、最新のビジネス・アプリケーションの構築から複雑なプロセスが取り除かれ、企業はデジタル・ソリューションを迅速に行えるようになります。
自律性の向上=生産性の向上
従業員が必要なソリューションを迅速に開発できるようにすることで、
従業員に力を与え、「変革のチャンピオン」にしましょう。
これにより、ユーザーの高い賛同が得られ、技術スキルの不足が対処され、従業員はプロセスをデジタル化し、ソフトウェアソリューションを迅速に提供できるようになります。
コストと導入期間の削減
ローコード開発により、デプロイまでのコストと時間が削減されます。ローコードアプローチを導入することで、企業は専門的な開発者を雇用する代わりに、既存のスタッフを市民開発者として活用できます。これにより、多くのデジタルソリューションを短時間で実践することが可能になります。
ローコード開発により、企業はメンテナンスコストを削減しながら、同じリソースでより多くのデジタルソリューションを構築できます。以前に作成したシステム モジュールまたはアプリケーション全体の再利用によりコストを削減し、生産性を向上させます。
市民開発
現在、ソフトウェアとアプリケーションの需要が絶えず高まっていますが、日本のほとんどのIT部門は追いついていない状況です。しかしながら、今後は市民開発者、つまり、ローコードプラットフォームを使用してビジネスアプリケーションを構築する経験の少ない従業員が登場します。
少ないコードとシンプルな開発パスにより、市民開発者は素早く必要なデジタルソリューションを作成することができます。よって、ローコードでのアプローチは開発時間を短縮し、社内イノベーションを加速させることができるのです。
ローコードプラットフォームの課題/限界は何か?
ローコード開発を使用するといくつかの利点がありますが、課題/制限もあります。
ベンダー ロックイン
ベンダーロックインは、ローコード開発プラットフォームに関する最大の懸念事項の1つです。多くの企業は、選択したベンダーに縛られるという懸念を抱えておりますが、それは選択するベンダーによって異なります。
ベンダーによっては、場所を選ばずに動作するクリーンで、標準化されたコードを作成し、そのプラットフォーム内外でアプリケーションの保守を容易に行います。他のベンダーは、複雑なコードを生成するため、自社のプラットフォーム以外でアプリケーションを保守することはほぼ不可能であると考えられます。
さらに一部のベンダーは、ツールの使用を中止すると、アプリケーションに変更を許可しないことが多々存在します。
カスタマイズオプション
開発者がカスタムソフトウェアを作成する際、直面する可能性のある唯一の制限は、ハードウェアとネイティブ言語の機能です。ローコード開発プラットフォームはより制約の多いものとなります。
企業は、必要な機能を正確に実現できない可能性があり、一部のローコード ソリューション内のユーザー インターフェイスは制限される可能性があると考えられます。 一方で、カスタマイズ オプションはプラットフォームごとに異なる場合があります。
一部のローコード プラットフォームでは、カスタマイズの選択肢が限られていますが、他のプラットフォームでは基礎になるコードにアクセスすることができます。 そのため、ローコード プラットフォームを選択する前に、カスタマイズ オプションの制限を確認する必要はでてきます。
ローコードはシャドーITを促進するポテンシャルがある
未承認のローコード開発ツールを使用している個人が IT 部門に発見される場合があります。 これによりリソースが無駄になり、セキュリティリスクが生じる可能性があります。
企業は、ヘルプデスクが見慣れないソフトウェアのリクエストを受けるなど、危険な兆候に注意することで、この問題の解決を試みることができます。しかし、 企業にとって、適切なローコード プラットフォームを提案できるように、各部門が直面している問題を理解することは非常に重要です。
どのような場合にローコード開発手法を使うのか?
ローコード開発アプローチを使用する理由は非常に簡単です。
企業は予算全体を枯渇させずに、アプリケーションを迅速に構築する必要があります。 もちろん、ローコード開発のいくつかの課題を考慮すると、このアプローチはすべてのシナリオに適用できるわけではありませんが、ローコード開発のアプローチが適している使用例をいくつか紹介します。
- レガシーのモダナイゼーション
- カスタマーポータル
- 構成とデバイスのセットアップ
- 小規模な自動化
- 分析
上記のリストは、ローコード開発が企業の日々の自動化を最適化し、顧客への働きかけを強化するのにどのように役立つかを示しています。
ローコード開発など、 NashTech Japanのアプリケーションサービスが、貴社のデジタル ソリューションの作成にどう役に立つか知りたい場合は、お気軽にお問い合わせください。
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