この2年間で、テクノロジー業界は驚くほど大きな変化を経験しました。パンデミックにより、全世界的なロックダウンと半ば強制的なテレワークの推進が起こりました。そしてそれによってデジタル技術の利用が急増するのは必然でした。世界中の人々や組織が、新しい働き方や生活様式に適応しなければなりませんでした。企業がそのように不透明な中で格闘し続ける一方で、変化のスピードが衰える気配がないことだけは確かです。

2022年に別れを告げ、2023年を見据えたとき、企業が競争力を維持するために今日取り組むべきITトレンドは何でしょうか?そこで今回はNashTechのリーダーたちに、2023年に企業が注目すべきテクノロジートレンドのトップ4について、その見解や展望を伺いました。 

ここでは、そんなリーダー達が共有した情報技術の動向をご紹介します。

データおよびアナリティクスは、引き続き戦略的優先事項 

パンデミックによって多くのリーダーが、複雑なビジネス上の意思決定を素早く行うことを余儀なくされました。最近データとアナリティクスの役割が注目されています。なぜなら多くの企業が市場戦略や、将来の成長に関する重要な意思決定をデータやアナリティクスを用いて行っているからです。 

急速に変化する市場環境に企業が直面し続ける中、データ分析によって意思決定とイノベーションを推進することは、これまで以上に重要な課題となっています。

信頼性の高い、一貫したデータに基づいたビジネス上の意思決定は、組織の潜在能力を最大限に発揮するのに役立ちます。しかしながら現実は、多くの企業がデータの整理、管理、分析に苦労し、データを通して読み取れたことを意思決定につなげるということができていません。

NashTech社のHead of Technology AdvisoryであるGeorge Lynch氏は、「企業は多くのデータにアクセスできますが、多くの企業はそのデータをどう処理すれば良いか、また、それらをもとにどこに行くべきかについて正しく理解できていないかもしれません。」と述べています。

企業がデータの潜在能力を最大限に発揮するには?

  • データ戦略を明確にする:データ戦略を持つことは、顧客のニーズを確実に把握し、ビジネスを成長させるための適切な意思決定を行うための基礎的なステップとなります。しかし、データだけではビジネスを最適化し、改善することはできません。データを価値に変えるための戦略が必要なのです。データ戦略は2つとして同じものはありませんが、一般的には以下のようなものを含むべきです:ビジネス戦略との整合性、現在のデータ能力成熟度評価、目標データ運用モデル、目標データアーキテクチャと技術決定、データガバナンスポリシー、ロードマップ、変更管理へのアプローチ。
  • データをきちんと管理・維持する:組織におけるデータの効果的な管理は、コンプライアンス規制の増加や、膨大な量のデータ生成に直面する中で、その重要性を増しています。
  • その成長スピードは衰えることがないと考えられています。IDCは、2025年までに生成されるデータ量が10倍になると予測しています。

組織のデータをどのように収集し、整理し、保護し、保存するか。これらの内容をまとめた強力なデータ管理計画を持つことは、膨大な量の情報を自由にかつ有効に活用するために不可欠です。NashTech社のHead of UK Delivery であるJon Last氏は、「もし、自分が持っているもの(データ)を把握したり対処したりできていないのであれば、データから意味のある情報を引き出す能力は低下してしまいます。」と述べています。

  • データ アーキテクチャの近代化:データは新しいビジネス通貨と言われています。しかし多くの場合、データインフラは古くて非効率的なテクノロジーで動いています。そのため、組織がデータと分析の価値を見出し、信頼し、解き放つことが難しくなることがあります。今日の組織は、最新のテクノロジー(データウェアハウス、データメッシュ、データレイクなど)を活用した最新のデータアーキテクチャを必要としています。また、従事するツール、プロセス、人材に対するアプローチも更新しています。

ロボティック・プロセス・オートメーション(RPA)は今後も成長する

パンデミックは、世界のサプライチェーンと人材資源に一連の混乱を引き起こしました。

これに対し、企業はビジネスプロセス業務の回復力を高めながら混乱に対処するため、ロボティック・プロセス・オートメーション(RPA)にますます注目するようになっています

ビジネスプロセスのアウトソーシングは長い間、組織のツールの一部でしたが、最近ではRPAによってこれらのプロセスが自動化されつつあります。実際、ITリーダーの98%は、ビジネスプロセスの自動化は極めて重要であると考えています

ロボティック・プロセス・オートメーションは、ビジネス・プロセスの効率と精度を向上させるだけでなく、退屈で反復的な作業を人間の労働者の代わりに行ってくれるのです。NashTech社のプリセールスディレクターであるPaul Hunt氏は、「これによって、人々はただ懸命に働くのではなく、より賢く働くことができるようになります。」と述べています。

ロボティック・プロセス・オートメーションによって、企業はどのように効率化を図ることができるか

  • RPA戦略を構築する:ロボティック・プロセス・オートメーションやインテリジェント・オートメーション・プログラムを構築する際に、組織が直面する最大の課題の1つは、これらの活動をどのように維持し、拡大するかということです。インテリジェント・オートメーション・プログラムを開始する前に、より広範なビジネス目標に沿ったオートメーション戦略とビジョンが必要とされます。戦略では、最終目標 (業務の継続性の向上、従業員の能力向上など)、目標を達成するために必要なもの、および影響を受ける可能性のある個々の役割を明確にする必要があります。Paul Hunt氏は、「いつもやっていることを自動化するだけでは足りません。この機会に、自分は正しいことをしているのだろうかと考えてみてください。」と述べています。
  • RPAとAIを組み合わせる:AIはRPAを補完するのに最適な存在です。これらを組み合わせることで、情報に基づいたナレッジベースをもとに、より正確で効率的な自動化が実現します。AIは、さまざまなソースから集めたデータを活用し、その情報をツールや製品に与えることで、それらのデータや、やり取りの価値を高めることができます。そして、RPAは構造化されたデータに基づくプロセスを自動化する価値を提供します。それぞれが独自に価値を提供します。しかし、この2つを組み合わせることで、技術的な知識ベースを使用してプロセスとアプリケーション間の相互作用を合理化するソリューションを作成することができるようになるのです。それに加えて、生産性の向上、コストの削減、および精度の向上などといった、非常に大きな価値も提供することが可能です。
  • 価値の捉え方を理解する:ロボティック・プロセス・オートメーションによって得られる価値について明確に理解することは、より高いコスト削減につながります。まず、労働集約的で、非常に構造的かつ反復的な作業からなるプロセスをリストアップすることから始めます。そして、導入の容易さ、顧客への影響、戦略的適合性など、定義された優先順位の基準に基づいてリストを評価します。リソースを投入する前に、定義された利益が達成可能であるかどうかを検証する必要があります。成功したリーダーの多くは、価値の低い活動から価値の高い活動へと投資をシフトさせることができます。

加速するデジタルトランスフォーメーション 

パンデミックにより、多くの組織がリモート環境への移行を進めたため、それによってデジタルトランスフォーメーションへの取り組みが加速しました。AI、IoT、VR/AR、クラウドコンピューティング、ブロックチェーンなどのテクノロジーの革新と発展が続き、2023年のデジタルトランスフォーメーションのペースは加速する一方だと予想されます

IDCは、企業が「ニューノーマル」に適応していく中で、デジタルトランスフォーメーションへの支出が2023年までに世界で6.8兆ドルに達すると予測しています

急速に変化する今日の市場で後れを取らないためには、組織は迅速に動き、変化に対応する必要があります。しかし、多くの企業は支援に必要な資本や人材が整わないまま、予想していたよりも迅速に行動しなければなりませんでした。KPMGが実施した調査によると、デジタル トランスフォーメーションを加速させる上での最大の課題は、技術関連の意思決定を迅速に行うことの難しさでした。その他の課題としては、技術的なスキルや能力の不足が挙げられます。

企業がデジタルトランスフォーメーションを成功させるためにすべきこととは?

  • 技術スタックを考える:企業は迅速に行動し、変化に適応する必要がありますが、ほとんどの企業はそれができません。その大部分は、既存の技術スタックの実装方法が原因です。ビジネスに適したアーキテクチャとテクノロジーを特定することは、デジタルトランスフォーメーション戦略を立案する上で最も重要なステップの1つです。レガシーシステムの上に新しい革新的なデジタルプロセスを構築することは、不安定な基礎の上に新しい家を建てるようなものです。デジタルトランスフォーメーションに着手する前に、時間と労力をかけて自社のテクノロジーを評価し、最新化することが必要になります。
  • 適切な人材を配置する:デジタルトランスフォーメーションの成功は、テクノロジーのツールだけでなく、人も重要な要素です。ビジネスにおいて多くの場合、テクノロジーの変化や改善が変革における最も複雑な要素と考えられていますが、実際はまったく逆です。デジタルトランスフォーメーションを促進し、新しいテクノロジーとオペレーティングモデルをサポートすることが必要です。そのために労働力と仕事そのものをどのように進化させる必要があるかについて、明確な目標を設定することが鍵となります。
  • アジャイルマインドセットを取り入れる:変化の時代には、それまでの堅い構造が壊れやすくなり、新しいチャンスに適応できなくなることがあります。デジタルトランスフォーメーションという大きな変化を乗り切るための鍵の1つは、実験、学習、テストを積極的に行うことです。ビジネスリーダーは、迅速なイノベーションと実験を促進するために、アジャイルマインドセットを持っている必要があります。

ID・アクセス管理(IAM)はミッションクリティカルになる 

パンデミックは、リモートワークの推進やデジタルトランスフォーメーションの取り組みをサポートする必要性の高まりから、ID・アクセス管理(IAM)の認知度を高めました。

IDは、サイバーセキュリティの基盤となっています。Verizonの 2022 Data Breach Investigations Reportによると、盗まれた認証情報は全データ侵害の61%を占めていると伝えています。一方、Gartner社は、セキュリティ障害の75%はID管理の欠如に起因するとしています。

企業はIAM能力の向上に多大な努力を払ってきましたが、そのほとんどは、「ユーザー認証を向上させるために必要な技術」に焦点が当てられてきました。これは有益なことのように思えますが、実際にはサイバー犯罪者の攻撃対象が増えることになります。NashTechのCISOであるJim Tillerは、「全体的に見て、企業は二要素認証の推進と実践の改善についてはうまく行えている。しかし基盤となる技術には弱点がある」と述べています。

サイバー攻撃から企業を守るために

  • ゼロ・トラストを取り入れる:ゼロトラストは、 ID・アクセス管理の永続的なトレンドになりつつあります。多くの組織では、信頼できる機能を備えたアプリケーション、プラットフォーム、およびツールが設計されています。つまり、ネットワークへのアクセスやツールへのログインが可能なユーザーであれば、システムがそれを記憶しており、常にユーザーに再度本人確認を促すことはないのです。このようなアクセス許可の甘さは、権限のないゲストが内部システムにアクセスした場合、組織に大きなリスクをもたらす可能性があります。ゼロトラストモデルを採用することで、企業は企業のリソースへのアクセスを許可する前に、ユーザーが本人であることを常に保証することができます。
  • 継続的な検証を継続的なプロセスにする:ゼロトラスト・モデルの主な考え方のひとつは、継続的な検証です。IAMのプロセスとポリシーは、ユーザーの確認にとどまらず、マシンやアプリケーションなどのIDの継続的な検証を含む必要があります。継続的な検証は、特定のユーザーが本人である確率を測定します。したがって、ユーザーは一度だけでなくセッション全体を通して継続的に認証されるのです。
  • IDに関するセキュリティは名詞ではなく動詞として扱うべき:組織はIAMを導入して終わりというわけではありません。ネットワークの規模が拡大し、進化するにつれ、IDに関するセキュリティを継続的に監視、評価、軌道修正する必要があるのです。IAMの能力とポリシーの向上に取り組むことで、企業は常に進化し続けるサイバー攻撃から組織を守ることができます。

2023年、技術リーダーたちは、将来を見据えた長期的な問題の解決に集中することになるでしょう。優れた企業は、テクノロジーにおける顧客中心のアプローチを採用します。これにより企業は、将来の顧客と従業員のニーズを満たすために、適応性、革新性、回復力を持って、ビジネス構造と機能を迅速に再構成することができるようになるのです。

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