仮想通貨の登場によって一気に話題となったブロックチェーン技術ですが、近年ではブロックチェーン技術を仮想通貨以外の業界にも応用することが試みられています。
本記事では、2019年に世界でブロックチェーン技術が影響を与えると言われるヘルスケア、自動車、エネルギーの業界に関して、それぞれの産業が抱えている課題をブロックチェーンの導入によってどのように改善することが出来るかをご紹介します。
ブロックチェーンの導入可能性とは?
ブロックチェーンの特徴は、「情報の安全性」と「仲介者を必要としない」という2点です。これによって金融以外の多くの産業においても導入可能性があることが注目されています。
2018年まで、ブロックチェーン技術はビットコインを筆頭とした仮想通貨(暗号通貨)の一部として語られ、ブロックチェーン=仮想通貨という認識が主でした。事実、ブロックチェーンはオンライン上でも確かなセキュリティーの確保を必要とする仮想通貨を実現させるための技術として誕生しました。
しかしブロックチェーン技術は、単なる財務取引よりもはるかに大きな可能性を持っています。技術者がブロックチェーンの可能性を探すにつれて、それをどのように適用させるかは無限であるように見えます。ブロックチェーンは分散型技術をで開発されていて、これまでの中央集権型ビジネスの常識を根本から変化させる可能性を秘めています。
そこで今回は、今後世界でブロックチェーン技術が影響を与えると言われる3つの業界をご紹介します。
ブロックチェーン導入が進む「ヘルスケア業界」
ヘルスケア業界の抱える課題とは?
ヘルスケアの近代化で直面する大きな課題は、異なる診療科間での患者情報の記録と共有です。現代社会の基盤となるヘルスケアは、非常に重要で改善すべき社会課題の一つです。世界人口の増加の一方で医療費の高騰や医療投資への予算が削減されている中で、ヘルスケアは少ない投資でより多くの新しいことに挑戦し続けなければなりません。大規模な近代化はヘルスケア分野では事実上難しく、その結果として古いデータ管理システムと旧式のインフラが残されたままになっています。 技術の進歩で医療機関はアナログな記録からデジタルの記録へ移行が可能になりました。しかし、それでもなお全ての情報が最新の状態に保たれ、関係者全員がそこにアクセスできるという訳ではありません。
ヘルスケア業界へのブロックチェーンの導入メリット
ブロックチェーン技術による情報の安全性を利用して、患者のプライバシーを強化しセキュリティーを向上させた上で、事務作業を大幅に軽減し治療や研究結果の共有を進めることができます。IBMの調査によると、医療従事者の半数以上(56%)が2020年までにブロックチェーンのソリューションを実施する予定です。Patientory(カルテをデータベース化するプラットフォーム)を例に挙げると、患者や医療機関にどのようなメリットがあるか分かります。患者は簡単に以前の情報にアクセスし、プロバイダーに情報を渡すことができます。プロバイダーは患者の健康に関する全ての履歴を持っていなかったとしても、以前のプロバイダーや医療機関から引き継いだ情報を見ることができます。医療機関には、記録の保管方法が安価でセキュリティーが保証され効果的である、というメリットがあります。
ブロックチェーン導入が進む「自動車業界」
自動車業界の抱える課題とは?
自動車の修理とメンテンスには通常、自動車OEMや部品販売業者、ディーラー、整備士、保険業者、そして自動車の部品や機器に関する多くの業者が関わっており非常に複雑なものとなっています。自動運転車や通信機器がお互いに繋がり相互に作用する未来は、そう遠くありません。
通信で繋がるインタラクティブな世界への変革で、効率的な文書化と相互関係やトランザクションに関するデータ収集は必要不可欠です。また同様に、共有可能で安全、アクセス権が厳しいデータベースも欠かせません。 最新のデロイト・レポートによると、自動車業界は過去3年間でブロックチェーン事業に17億USドルを投資しています。
また一方でガートナー氏は「ブロックチェーンの事業価値は、2025年には1,760億USドルに成長する」と予測しています。
自動車業界へのブロックチェーンの導入メリット
ブロックチェーンを分散台帳として利用し、車の修理とメンテナンスの全ての履歴を、カーメンテナンス用の1つの場所に記録できます。 それによって、自動車の修理とメンテナンス関する多くの業者が自動車に関するニーズを自主的に感知するために、共有スペースの利用がさらに進みます。
特撮テレビドラマ「ナイト・ライダー」のAI搭載でおしゃべりな車、K.I.T.Tほど機知に富んでいるわけではありませんが、車の修理が必要な時に車自身がそのことを私たちに教えてくれたり、パーツの販売業者への連絡、価格の交渉やサービスの予約、適切な技術者の選定や決済処理時にアドバイスをくれます。
それはお客様にとって非常に有難いことであるばかりでなく、自動車メーカーにとっても、お客様が車を購入した後に関係を長く保つ機会を与えてくれます。 ブロックチェーンは自動車ローンにも利用される可能性があります。
通常、融資には何段階かの審査が必要です。金融サービスで行われたことを応用し、カスタマーバンクの検証、複数回のトランザクションの設定と実行、信用状の発行、数カ所から発行された文書の調査など、ブロックチェーンによって効率を上げることができます。
ブロックチェーン導入が進む「エネルギー業界」
エネルギー業界の抱える課題とは?
現状、エネルギーのやり取りには必ず仲介者を必要としています。この業界には何人かのパイオニアがいたと言われています。太陽光発電のアーリーアダプターは、エネルギーとの関係のバランスをうまく取っています。使わないソーラーエネルギーは電気事業者に売却します。それでもこの関係性は少し古く、効率的ではありません。
医療と同じように、エネルギー供給とエネルギー管理は社会で重要な役割を担っています。伝統的に、人々はエネルギーと一方的な関係を持っています。生活をする家はエネルギーを電気事業者から買い、それに対して人々は代金の支払いをするというサイクルは今もなお続いています。
エネルギー業界へのブロックチェーンの導入メリット
ブロックチェーンは分散型の元帳技術です。これをエネルギーの分野に適用すると、人々はエネルギーを彼らの間だけで交換することができます。 これにより、全体的に再生可能エネルギーが促進され、最終的にはCO2を排出する発電の世代から転換していきます。
ブロックチェーンの技術によって、個人がスマートな契約でエネルギーを売買することが可能になり、再生可能エネルギーはトークン化されます。 風力、ソーラー、水力発電の企業は、再生可能エネルギーを消費する権利に前払いする投資家とシームレスにつながることができます。これは流通のシステムといえます。 そのため、エネルギー業界はもはや中間業者による束縛が無くなります。
また、個人が家庭内で利用するエネルギーはマイクログリッドを形成することができ、コミュニティーを停電から回復させたり、環境への排出を減らすことができるでしょう。 ブロックチェーンはAIを利用し、消費者のエネルギー消費パターンを研究して、それに沿ったエネルギーを購入することもできます。 このプラットフォームにはハードウェアユニットが含まれています。AIベースのスマートエネルギーエージェントは複数のエネルギー市場と繋がり、ソーラーパネルから生まれた余分なエネルギーを利用することもできます。
まとめ
ブロックチェーン技術は様々な分野で無限の可能性を秘めています。本記事を是非御社のブロックチェーン技術の導入のご検討にお役立て下さい。また、本記事を読んで少しでも弊社にご興味をお持ちいただけましたら、こちらまでお気軽にお問い合わせください。日本のブロックチェーンアドバイザーがすぐに対応させていただきます。