
近年、AI技術の発展により、以前より耳にする機会が増えた画像認識という言葉。皆さんも一度は聞いたことがあるかもしれません。実は画像認識技術は様々な場面で活用されており、現在注目が集まっている技術の1つです。そこで本記事では、画像認識とは一体何なのかという基本の部分から、画像認識とAIに付いて、画像認識の仕組みやアルゴリズム、さらには画像認識の今までとこれから、活用事例など、詳しくご紹介していきます。
画像認識とは?
そもそも画像認識とは、言葉の通り、画像になにが写っているのかを認識し判別する技術のこと。画像から特徴を掴み対象物を認識する、パターン認識と呼ばれる技術の1つです。例えば人間が写っている場合、目や眉毛、口など顔のパーツの位置や数を認識することで情報を読み取り、それを顔であると認識していきます。
最近ではディープラーニング技術が発達したことで、これまでよりも複雑な特徴も捉えて画像として認識できることが可能になってきているため、より多くの分野で活用され始めています。このディープラーニング技術こそが、AI自身が画像認識をできるようになった要因なのです。
AIによる画像認識
人間の知性や知覚の一部をソフトウェアを用いることで人工的に再現するAI(人工知能)。AIは、言うまでもなく様々な分野で活躍していますが、その事例の多くがディープラーニングに依存しています。ディープラーニングとは、十分なデータ量があれば人間の力を借りることなく機械が自動的に特徴を認識し抽出できるようになる技術です。
最近では、画像認識においてもディープラーニングを活用したAIよる画像認識が増えてきています。ディープラーニングで大量のデータを認識させることで、AIによる画像認識の精度の高さや処理速度は飛躍的に向上しており、人力で行うスピードを越える領域に達しつつあるのです。
人の手を使って行っていた作業も、AIが自動で行ってくれるため、手間が省けたり、今後は人でさえ気が付かなかった特徴の発見なども期待できます。そんな画像認識ですが、その仕組みは一体どうなっているのでしょうか。以下では画像認識の仕組みについて解説していきます。
画像認識の仕組み
コンピューターやAIは私たち人間とは異なり、人間や動物など、何かしらの情報がある画像データを、ピクセルの集合体として認識します。そのため、画像認識を行うためには、まずは組み込まれた清算処理を通して画像データ上の何かしらの特徴を抽出しなければなりません。この抽出作業の際に手がかりとなるのが、画像の色合いやノイズ、歪みや明るさとなります。
まずは画像のノイズや歪みの除去、その後に明るさや色合いの調整。そしてオブジェクトの輪郭の強調し、オブジェクトの領域の切り出し。このような流れで画像認識は進みます。このようにして、画像の特徴を抽出した後に、その類似範囲や差異を学習することで、画像データに写ったものを認識することができるようになります。また同時に、識別、分類などの処理を行うことも可能になるのです。
つまり画像認識の仕組みを簡単にまとめると、まずは明るさや輪郭、色合いなどの要素から画像の特徴を抽出し、事前に学んだ特徴を元に対象の画像が何を写しているのかを認識、分類を行うという流れです。
画像認識とアルゴリズムについて
AIによる画像認識と同時に理解しておきたいポイントが、「アルゴリズム」についてです。アルゴリズムとは、様々な問題を解決するための計算方法や手順のことを指します。一般的には、コンピューターを使用し、プログラムによって問題を解決する手順のことで、その手順に沿って作業をすれば誰でも同じ答え、つまり問題解決を行うことができるもののこと。このアルゴリズムが異なれば、同じ問題でも解決するまでの手順が異なることになるのです。
画像認識でも、画像データから特徴を抽出する際にこのアルゴリズムが活用されています。例えば、物体検知。物体検知とは、画像から物や動物を認識する技術で、数年前から話題になっている自動運転にも活用されています。自動車が自動運転を行う際に、車の周りの物体や標識、人を認識し、周囲の環境を把握するために使われています。
その他にも、顔の画像から目や鼻、口などを抽出し、顔の特徴や表情を認識する顔認識技術、画像データに書かれた文字を認識し、応用として翻訳などにも活用されている文字認識技術など、画像認識は様々なアルゴリズムによって発展を続けています。
そんな画像認識ですが、これまでどのように発展し、今後どのようになっていくのか。以下では、画像認識の歴史と未来について記載します。
画像認識の歴史と未来
画像認識の歴史
今でこそディープラーニングにより注目が集まり、有名になっている画像認識ですが、実は昔から存在します。最も古い画像認識技術は、バーコード。皆さんにも馴染みがあるものなのではないでしょうか。1940年代に登場したバーコードでは、黒いバーとスペースの組み合わせで数字や文字を表現し、バーコードスキャナを用いて光認識技術により読み取る仕組みです。現在では画像認識と言われてパッと思いつくものではなくなっているかもしれませんが、バーコードは画像認識の原点と言えるでしょう。
その後1980年代にはコンピューターの登場により画像認識の研究が進み、1990年代にはソフトウェアの分野でも画像認識技術が発展したことで画像認識に特化したソフトウェアやハードウェアの販売が開始されました。これにより、多くの産業で画像認識が活用されるようになり、以降、航空写真や車両の画像取得にまで繋がっています。そこから更にディープラーニングの登場により、現代に至ります。
画像認識の未来
このように、あまり知られていないですが画像認識の歴史は意外と長く、徐々に発展してきた技術です。では今後、画像認識技術はどのように発展し、活用されていくのでしょうか。
現時点ですでに画像の中から様々な特徴を認識し、分類する技術が出てきていますが、今後、更に複雑な特徴を認識できるようになるだけでなく、その特徴を元に人間の方にコンピューターから様々な提案ができるようになり、それを生かしたサービスが発展していく可能性が高いでしょう。例えば自分の好みの洋服の写真を撮ることで、画像認識により類似した商品を提案してくれるサービスなどが考えられるのではないでしょうか。
画像認識の活用事例
最後に、実際に画像認識が活用されている事例を幾つかご紹介します。
言語の翻訳
まずは、先ほども少しご紹介した言語の翻訳です。日本語を、英語や中国語などの外国語に翻訳する際、翻訳ツールを皆さんも一度は使ったことがあるのではないでしょうか。代表的なのがGoogle翻訳。これらの翻訳機能には、自然言語、つまり私たちが日常会話で使っている言語では、ニュアンスの違いや複数の解釈があることから、正確に翻訳処理を行うことが難しいとされてきました。
しかし、AIの発達により現在ではそういった細かい部分も高い精度で翻訳可能になり、更に画像認識と組み合わさったサービスが提供されるようになりました。わからない文字が書いてある画像をカメラでスキャンするだけで、記載してあることが日本語に翻訳されて文字として出てくる機能です。海外から輸入された商品などの説明文を理解したい時などに、非常に便利ですよね。
画像検索
続いては画像検索です。中国のアリババグループでは以前からEコマースで活用しており、欲しい商品の画像をアップロードすることで類似商品を検索することが可能で、画像認識技術を上手に取り入れています。
また、Googleで使えるようになったことでも注目を集めました。例えば、詳細を知りたいと思ったワインボトルの写真を撮って画像検索をかけると、そのワインの名前や価格を含む詳細から、そのワインが販売されているサイト、相場などを簡単に検索することができます。ワインだけでなく、道端で見つけた名前のわからない植物など、日常で目にする疑問を手軽に素早く解決できるため、多くの人にとって重宝する機能ではないでしょうか。
自動運転
こちらも先ほど少しご紹介しましたが、自動運転でも画像認識は活用されています。自動車に乗り、目的地を設定すれば、自動車が自動で運転をしてくれる技術。この自動運転技術では、車の周りの物体や人物、標識を認識するために画像認識が活用されています。
その他にも、画像認識が活用されている事例は数知れず。今後も、画像認識技術が日常やビジネスの中で私たちの生活をより良くしてくれる可能性は無限大です。
NashTechの最新事例 オンライントレーニングクラス向けのAIソリューション
e-academyサービスにおける、画面越しの受講者の認識機能を開発いたしました。主に下記の機能を開発しました。
- トレーニング開催中の学生の感情(幸せ、悲しみ、怒り)を検出する。
- トレーニング中にスマートフォンやノートブックを使用したり、手を上げたりするなど、学生の活動を検出する。
- 学生はフルタイムでトレーニングコースに参加するか、又は途中で席を外したかを確認する。
- トレーニングコースが終了した後で、要約分析結果を提示する。

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まとめ
いかがでしたか?今回は、画像認識とは一体何なのかという基本の部分から、画像認識とAIに付いて、画像認識の仕組みやアルゴリズム、さらには画像認識の歴史と未来、そして最後に活用事例のご紹介をしました。さらに画像認識技術が発展し、どんな風に活用されるのか、今後が楽しみです。皆さんもぜひ日常の中で画像認識技術を活用してみてくださいね。