「新しいテクノロジーを使って、5年以内に中古自動車輸出販売のシェアを拡大したい。日本の良さを伝えるためにも走り続けたい。」
そう語るのは、ジャポックス株式会社、平山氏だ。2019年5月。令和という新たな時代と共に、中古自動車の輸出事業を始めたスタートアップ、ジャポックス株式会社(以下略してジャポックス)。
「大手商社などではカバーしきれない製品を輸出したい」という思いの元、父の事業を引き継ぎ、ECサイトを通して、中古自動車の輸出事業を行っている。ジャポックスが、顧客である中古車販売店に提供しているのは、「極めてシンプルな販路開拓」だ。
日本の流通ビジネスの課題に対して、何ができるか?
「日本の流通ビジネスには、大きな課題があると感じています。それは、人口減に伴う販路の縮小です。この課題に対して、何ができるかを考えていました。」
中古車販売店にプラットフォームを提供し、活用してもらうことで、海外に販路が作れる。そのためには、新しいテクノロジーを活用したECサイトが必要だった。中古車を販売したいディーラーが、PCだけでなくスマートフォン上でも会員登録を行い、商品登録をし、在庫管理を簡単に行うことができるサイトの作成だ。登録した中古車販売店は、ジャポックスの自社ECサイトを通して簡単に海外への販路の拡大が可能になる。
しかし、これらを実現するためには、システム開発のプロフェッショナルの存在が必要不可欠だった。
顧客の「やりたい」を実現する、NashTechとのパートナーシップ
「私たちは技術者ではありません。そのため、実現したいことを抽象的に伝えることしかできない。けれど、NashTechのチームは、その抽象的な話を実装レベルまで落とし込んで、とにかくわかりやすく進めてくれたのが印象的でした。」
-NashTechにした決め手とは?
顧客が海外にいることもあり、日本の会社に絞らず、グローバル展開をしていること、英語ベースでコミュニケーションを取っている会社の中から、パートナーになれる一社を探していたという。数十社の候補の中から選ばれたのがNashTechだった。
その「具体性」と「クオリティの高さ」が、平山氏の目を引いた。
「予算・スケジュール共に厳守をしなければならないという限られた条件の中で、最終的に何ができるのか、そのためにいつまでに何をするのか、そして何を用意する必要があるのか。フレームワークの説明も詳細で、アジャイル開発の手法も圧倒的に明瞭でした。」
スプリント毎の役割や、その役割を担保するための監査機能、作業工程表の緻密さなど、作業レベルまで落とし込んだマイルストーンが、クオリティ・予算・納期を重視していた平山氏にとって、納得できる内容だったと言う。
–顧客に寄り添い、諦めない姿勢
「技術の素人(ジャポックス)と技術のプロ(NashTech)が混在する中で、私たちのニーズを汲み取り、変化する状況の中でもゴールの達成を諦めないでいてくれました。そのおかげで、お互いの認識を合わせ、同じページを見ることができていると感じました。顧客に寄り添って諦めない姿勢が非常に印象的で、NashTechチームには感謝しています。」
スプリント毎にデモ画面を提示し、開発のスタート直後にはデザインを提示してイメージを明確にできるようにした今回のプロジェクト。「私たちのようなスタートアップには合っているやり方だった」と平山氏は称賛する。
NashTechの強みである最新のテクノロジー活用
「英語圏の会社であるためか、日本の他社と比べて、技術の流行を掴むのが非常に速いと感じました。元々、今回使ったコンピュータ言語については私自身、何も知りませんでした。日本でも自信を持って対応できる技術者は限られている。それでも、NashTechの方が、”任せてください”と言い切った。僕はそれを信じました。」
「プロジェクト始まって以来、私も勉強して開発言語やフレームワークについてわかるようになってきました。やっぱりNashTechの選択は正しかったかと。これまでのノウハウを活かして、利便性や機能性という観点から何が最適なのかを教えてくれるだけではありません。常に勉強していて、最新のテクノロジーの流行にも敏感であることは、NashTechの大きな強みであると感じました。同時に、私も勉強になりました。」
ジャポックスが見据える、中古車販売輸出市場の今後
現在、中古車販売輸出の市場規模は1年間で約120万台。ビッグスリーの3社で33%を占めている。その他残りは中小企業が輸出を行っている状況だ。
「中小が行っている残りの部分を、我々が取りに行きたいと思っています。また、現在120万台のシェアを、150万台まで伸ばしたい。自社だけでなく、日本の中古車販売輸出のシェアの拡大を目標にして走り続けています。」
「中でも、アフリカを狙っています。電気自動車の出現によって、日本では化石燃料車の市場が縮小していく。けれど車を代替する際に起こる車両の解体作業、リサイクルの作業はトータルで見ると環境破壊にも繋がる可能性が存在するので、SDGsの観点からもよろしくないフェーズが、現況のままだとくると考えています。一方で、アフリカではまだまだ化石燃料者の販路の拡大が期待できますし、間違った情報が行き交っているが故に、騙されて車を買う人も存在します。そこで、日本で使命を終えたが、まだまだ使える品質の良い車を届けることで、日本の車の良さを伝えると同時に、結果的にSDGsにも繋がる導線を描けます。」
そして最後に平山氏は続けた。
「車は珍しく登記所のような所有権(権利)が付いていて、日用品とは違う特殊な小売商品です。車のディーラーさんも、我々も、車を使っていた人も、車が好きなんです。あの頃はあの車に乗っていたな、とか、その人の人生をつかさどる一部でもあると思います。自分の使っていた愛車が、また別の国で他の人に愛される。これって嬉しいことだと思いませんか?人生をつくるものを買って、売っている。そして、思い出は記録として人生に鮮やかに宿っていく。だから、私たちもそんな仕事のお手伝いができたら良いなと思っています。」
NashTechとのパートナーシップを通して作成したサイトは、顧客からUIやUXがわかりやすく、使いやすいという声をいただいているようだ。このパートナーシップを通して、平山氏が最後に話した「車への愛」も、顧客全体に伝わっているのではないだろうか。