組織が世界的なパンデミックの余波を乗り切り続ける中、デジタルトランスフォーメーションは最先端にとどまり続けています。
デジタルトランスフォーメーションはもはや流行語ではなく、多くの企業でコア機能になりつつあります。 実際、IDCは、2023 年までにデジタルトランスフォーメーションに対する世界の支出が 6.8 兆ドルに達すると予測しています。
社内のビジネスイニシアチブに関して言えば、デジタルトランスフォーメーションは非常に大きな存在です。この規模のイニシアチブは圧倒されるかもしれませんが、何もしないという選択肢はもはやありえないのです。しかし、変革への道のりはなかなか一筋縄ではいきません。ボストンコンサルティンググループの調査によると、デジタルトランスフォーメーションの70%がビジネス目標を達成できていないのです。
「課題は、多くの企業がどこから始めればよいかわかってないことです。彼らには、ビジョンや戦略、ロードマップを作成するための支援が必要なのです。これら 3 つは重要な開始アーチファクトです。 ゴールにたどり着く前に、どこへ行くのかを知る必要があるのです。」ーGeorge Lynch – NashTech テクノロジーアドバイザリー責任者
では、デジタルトランスフォーメーションの取り組みはどこが間違っているのでしょうか?
ローンチの失敗:デジタルトランスフォーメーションの取り組みが失敗する理由とは
デジタルトランスフォーメーションにおけるポイントは、デジタル化をすることではなく、ビジネスに価値を生み出すことにあります。しかしEverest Groupによると、組織の73%がデジタルトランスフォーメーションの取り組みによるビジネス価値を提供できていないのです。
デジタルトランスフォーメーションは複雑なプロセスであり、変革への取り組みはさまざまな理由で失敗する可能性があります。そのため、変革の影響を持続させるには、マインドセットや行動を大幅にリセットする必要があります。
以下で、デジタルトランスフォーメーションの取り組みが失敗する原因となる、3つの重要な要因を見てみましょう。
テクノロジー優先のアプローチ
多くの場合、組織はまず最初にテクノロジーへの投資を行い、次にそれをビジネスに役立てる方法を見つけようとする傾向があります。大規模で高額な、従来の代替テクノロジを使用してデジタルトランスフォーメーションを開始しようとしていることが、そもそも間違っているのです。なぜなら、そのやり方をしてしまうと、多額の資金と人的リソースを使い果たし、最終的に変革のメリットを提供できなくなるからです。デジタルトランスフォーメーションでは、テクノロジーをサポートするためにビジネスプロセスを変更する必要があるのです。これに留意することが重要となります。
「デジタルトランスフォーメーションを技術プロジェクトと考えないでください。デジタルトランスフォーメーションは、ビジネス主導であるべきなのです。あくまで、テクノロジーによって可能になるビジネスの変革である必要があります。」ーGeorge Lynch – NashTech テクノロジー アドバイザリー責任者
変更管理の欠如
変更管理の欠如は、組織のデジタルトランスフォーメーションイニシアチブの成否を左右するかもしれません。変化を受け入れるのは難しいことです。多くの従業員は、現状維持に賛成する、偏見を持っている可能性があります。「管理部門の人々は、デジタルトランスフォーメーションに抵抗します。 産業慣性なのです。 自分が適合する場所や理由がわからない場合、彼らは変化に抗うでしょう。」とLynch氏は述べました。マッキンゼーによると、変更管理の取り組みの70%は、従業員の抵抗と管理の欠如が原因で失敗しているのです。牽引力を得るためには、変革の取り組みを最初から事業主に結び付ける必要がありそうです。
事前のコミットメント不足
デジタルトランスフォーメーションを概念的に理解することは、成功に必要なことを実行することと異なります。組織のリーダーは変化の必要性について話すことは可能ですが、その変化を概念から現実にする大規模な取り組みにコミットしなければ、イニシアチブは失敗におわります。すべてのマネージャーや従業員は、トランスフォーメーションの成功に対して、それぞれの権限を前もって受け入れる必要があります。
デジタルトランスフォーメーションのト進め方を紹介
デジタルトランスフォーメーションは困難な作業になる場合もありますが、一か八かのような命題ではないことを覚えておいてください。デジタルトランスフォーメーションへの適切なアプローチは、ビジネスの価値を解き放ち、従来の手段よりも素早く結果を出すための鍵となります。
デジタルトランスフォーメーションの旅を順調にスタートさせる5ステップは以下です。
ステップ1:ビジョンと戦略の策定
デジタルトランスフォーメーションに着手する前に、出発点と進むべき方向を明確に理解することが不可欠となります。ビジョンと戦略の策定は、プロセスにおいて非常に重要な部分です。「最も成功している企業は、時間をかけて測定可能な方法でビジョンを明確にした企業です。エレベーターピッチではなく、ビジネスをどのように実質的に改善するかを熟考している企業なのです。」とLynch氏は述べています。
デジタルトランスフォーメーションを通して最大の価値を得る企業は、多くの時間と労力を費やして「既存のビジネスプロセスの変革ではなく、新しい製品や顧客でどのように価値を生み出すことができるだろうか?」ということを考えています。
組織の変革のための戦略計画を作成するには、IT 機能を戦略的な組織レベルの成果とビジネス価値に合わせることから始めます。優れたデジタルトランスフォーメーション戦略は、次の3つの要素に対処できなければなりません。
戦略:目標は何か?
テクノロジー:どのようなテクノロジーを使用するのか?
人々:この変革イニシアチブをリードするのは誰なのか?
ステップ2:ドリームチームの構築
人間がテクノロジーを構築し、テクノロジーが人間の可能性を広げます。チームに適切な人材を配置することは、デジタルトランスフォーメーションイニシアチブを成功させるために必要不可欠です。
良いデジタルチームは、良いデジタルリーダーを持つことから始まります。リーダーを配置した後は、適切なスキルを備えたチームを選択することが重要です。必要とされている特定のスキルを持つチームメンバーを見つけることは、適切なエグゼクティブリーダーシップを持つことと同じくらい、デジタルトランスフォーメーションイニシアチブにおける最大の課題の1つです。
2025年までに、部門横断的なリーダーシップとデジタルチームを持つ企業は、競合企業に比べて、より迅速なイノベーションや高い市場シェアの獲得、そして優れた運用効率を実現するでしょう。チームメンバーの専門的な資格が重要であるだけでなく、彼らの個性と適応性も、適切な変革の文化を構築する上で重要な役割を果たします。
ステップ3:適切なテクノロジーとツールの取得
デジタルトランスフォーメーションはテクノロジーの上に成り立っていますが、適切なツールを選択することが難しい場合もあります。契約上良さそうな製品を選ぶのではなく、戦略的なビジョンから始めて、ステップ1で作成した戦略に沿ったツールを採用しましょう。
これまでの経験からすると、優れたデジタルトランスフォーメーションテクノロジーは、次の共通の目標の少なくとも1つを達成している必要があります。
・顧客中心主義
デジタルトランスフォーメーションの本質は、カスタマーエクスペリエンスを向上させることにあります。顧客との関わりをより簡単にすることができるツールを探しましょう。
・高速な処理
例えば、何百マイルも離れた場所にいる専門家とリアルタイムで医用画像を共有する必要がある場合や、組立ラインの生産を増強する必要がある場合、バックオフィスが請求書を処理できるようにする必要がある場合など、どのような状況においても、プロセスをより迅速、且つスムーズに実行できるツールを選択する必要があります。
・より良いビジネスインテリジェンス
デジタルトランスフォーメーションは、リアルタイム分析と高度なデータ分析を使用して、会社を成長させるための、より強力な選択を行う機会を切り開いてくれるものです。
ステップ4:成功測定
デジタル、データ、分析を受け入れ、導入することがビジネスに不可欠であることは広く理解されています。しかし、ビジネス価値への繋がりの重要性はまだまだ理解されていません。組織がますます多くのデジタルイニシアチブを開始するにつれて、ビジネス上の成果を上げているかどうかを測定する必要があります。
ビジネス、及びテクノロジーのリーダーは、デジタルイニシアチブの順調な進捗状況を CEOに報告するかもしれません。しかし、単にプロジェクトを軌道に乗せただけでは、結果として組織が収益、収益性、市場シェア、または効率を向上させているとは限らないのです。
組織の目標に最適なKPIを作成していることを確認するためには、以下の5点を確認しましょう。
・何を測定してるのか?
・現在の状況はどのようなものか?
・目標は何か?
・最終的に望む成果・利益は何か?
(例えば、顧客の成果が 50% 向上、コストが20%削減されるなど、具体的に)
・文化を変え始めているのか?
ステップ5:適切な組織文化の育成
デジタルトランスフォーメーションは、テクノロジーの一部分にすぎません。テクノロジーと強力なデジタル戦略は重要ですが、実行するための文化が必要となります。そのため、デジタルトランスフォーメーションの成功を体験したい組織は、テクノロジーよりも文化に重点を置く必要があるのです。
リーダーシップ、従業員同士のやり取りの方法、そして業務を定義するプロセスはすべて、組織の文化の基盤を形成しています。デジタルトランスフォーメーションと文化は密接に関係しているのです。どちらも、最大限の効果を発揮するためには、よく考え抜かれたプロセスを備えていなければなりません。
デジタルディスラプション、つまりデジタルによる破壊的イノベーションは、組織に付加価値を与える新たな機会を生み出します。 ただし、どこまで、どれだけ速く変革する必要があるかを理解している人に限って、その機会はもたらされるのです。デジタルトランスフォーメーションにまつわる不確実性に自信を持って取り組むことは、それが単一な変化ではなく、旅のように複雑であることを理解することです。
これまでに記載した5つの重要なアクションステップに投資することで、トランスフォーメーションという名の旅が、適切なスタートを切ることができるのではないでしょうか。
NashTechのアプローチについて詳しく知りたい場合、またはお客様のデジタルトランスフォーメーションの過程で、当社がどのように役立つかご相談の場合は、こちらのアドレスにメールよりご連絡ください。sales.japan@nashtechglobal.com
また、ビジネスを変革し、次期デジタルディスラプターになるための手順を理解するには、eBook をダウンロードしてみてください。