近年ビッグデータという言葉が広がっています。実はビッグデータは私達の身近な場所でも使われていて、オンラインショッピングの楽天や、大型チェーン店のスシローでも既に活用されています。では、そもそもビッグデータとは一体何なのでしょう。ここでは、ビッグデータの基本的な知識から、なぜ普及したのか、そして現在の活用事例までを徹底解説していきます。
そもそもビッグデータとは何?
ビッグデータとは簡単に言うと、インターネットの普及とIT技術の進化によって生まれた、これまで企業が扱ってきた以上の、より大容量かつ多様なデータを扱う新たな仕組みを表すものです。ビッグデータの特徴として挙げられる点として以下の3つがあります。
|総務省によるビッグデータの説明はこちら!|
1.多様性(データの種類)
ビッグデータの一番の特徴と言えるのが、取り扱うデータの種類と言えます。従来のシステム(構造化データ)で取り扱われていた数値や文字列などのデータだけではなく、非構造化データと呼ばれる、文章、音声、動画といったマルチメディア・データなどのデータなども含まれるようになったのです。
2.頻度(更新速度)
センサーから発生するデータやGPSの位置データなどがありますが、これらのデータは1秒間に数千件から数百万件発生するものまで世界中で爆発的に(非常に速い速度で)発生しています。
3.量
上の2つの特徴の結果必然的にデータの量は多くなります。 そして、ビッグデータを使えば、それに耐えることができるのです。いまやビッグデータの活用により、TB(テラバイト)、PB(ペタバイト)といったサイズの大規模データの利用も珍しくありません。
以上の3つはデータの種類(Variety)、データの発生頻度・更新頻度(Velocity)、データの量(Volume)で、3つのVと呼ばれていて、いずれもビッグデータの重要な要素です。
ビッグデータの身近な活用例を紹介
ICチップ付きの交通カード
ICチップ付きの交通カード(SuicaやPASMOなど)は、駅の改札やお店での支払いに使うことができます。
ICチップ付きの交通カード改札をとった際の情報が改札機を通してデータが蓄積され、自社内システムで利用されています。また、買い物で利用する際は、ICチップ付きの交通カード内の情報を自動的にビッグデータとして蓄積されていきます。
防犯カメラ
映像は莫大なデータを有しています。かつては、万引きの防止などに使われていましたが、現在では「手に取って棚に戻したもの」など、購入に至らなかった商品のデータ分析に利用されています。
こういった顧客の行動データを解析することでマーケティングに役立てることができます。
動画共有サービス
最近ではYouTubeなどの動画共有サービスが利用されています。そんな動画共有サービスでは、「誰が」「何を」「どれぐらい見た」のかが自動的にビッグデータを蓄積されています。
このようなデータをもとに広告主や動画配信者へデータを共有することでよりサービスの向上に諮っています。
「こちら」|ビジネスには欠かせない「Chatwork」の記事でも紹介されています!
なぜビッグデータがこんなにも普及したのか?
ビッグデータの特徴について説明しましたが、なぜこんなにも普及したのでしょうか。どうやら、インターネットの開発や、スマートフォンの普及が背景にあるようです。ここでは、具体的にビッグデータが普及した理由を3つ紹介していきます。
1.世の中に流れるデータ量が増加
2000年代に入ってから、急速にWebサービスが成熟し始め、GoogleのGmailも、開始当初は容量1Gバイトも無料で使えるのが画期的だと注目を集めました。そして、2010年にかけてWikipedia、YouTube、Twitter、Facebookと今では当たり前となったメジャーなWebサービスが次々と誕生しました。SNSでの書き込みや、設定した個人情報も事業者側からすれば、貴重なデータとなり得られるデータが増えていきました。また、スマートフォンの普及もデータ量が大量に増えた要因と言えます。従来のガラケーと呼ばれる携帯電話などとは違い、使えるアプリの数が増えました。これらの膨大なデータを取り扱う上で注目を集めたのがビッグデータだったのです。
2.データを用いたビジネスモデルの出現
2000年代以降のインターネットの急普及による情報化社会への移行により、事業者は業務の電子化や自動化をすすめ、今となってはITが関係しない業務なんてもうないと言えるぐらい定着していきました。そこで事業者は、普及しているデータに役立つ付加価値を与えようとしたのです。例えば、ある企業がある商品の売上を電子化できたとしても、それをビジネスにつなげる事ができているかどうかは、また別の話です。実際に、現在でも、電子化は終わっていても、ビジネスに活用できていない企業が多いといわれています。そんな中、ビッグデータをレコメンドの精度向上に役立てているAmazon、在庫予測調査や消費者調査に生かしているウォルマートに見られるような、「ビッグデータの活かし方」が注目され始めたのです。
3.新技術の登場による低コスト化
実は近年、新技術の登場などにより、ビッグデータを分析するツール、ストレージ、ミドルウェアのコストが低くなったのです。大量のデータを手に入れて、次のステップとして実際に分析などをしていく時に、コストがかかってきてしまえば、企業に経済的な余裕がないと厳しいですよね。データ活用はトライアンドエラーの連続なので、コストが安く、かつ、大量のデータを扱えるということで、ビッグデータが注目を集めたのです。


ビッグデータの活用によるメリットとは?
ここまでビッグデータの基本的な知識についてを説明してきましたが、ビッグデータを活用することはどのような影響をもたらすのでしょうか。ここでは、実際にビッグデータを活用するメリットを見ていきます。
1.需要予測ができ、効率的
ビッグデータの更新頻度は従来のシステムと比べても格段に速く、すぐに「今人気の商品」や「購入者が欲している商品」などを高い精度で把握可能なのです。時代のトレンドというのは毎年変わるものですが、ビッグデータを活用すれば、リルタイムで情報を入手できます。さらに、ビッグデータが全国を網羅していることを考えると、商品開発だけでなく、チェーン店の新規出店のエリア選定など、営業戦略にも活用できそうです。
2.精度の高いパーソナライズ
データの分析し、数あるビッグデータを組み合わせて活用することによって、精度の高いパーソナライズを可能にできるのです。パーソナライズとは、ユーザーにとって最適な情報を提供するサービスのことです。例えば、Amazonや楽天などのECショップでは会員データ、購買履歴、サイト内での顧客の動きなどのデータを使って、過去の履歴や「おすすめ」を提示することで、会員個々に購買意欲を高める情報提供を行っています。また、他にもビッグデータを基にして、適切なタイミングでのキャンペーンメール発信やディスプレイ広告の効率化などのような従来は人手と時間を掛けて行っていた細かなプロモーション活動を自律的に行えるようになるため、既存顧客とのエンゲージメント強化に加え、ビジネス拡大のきっかけにもなります。
3.ビジネスの効果や結果の検証がしやすくなる
ビッグデータを活用する方法を見つけ出し、新たなサービスを展開した後はその「サービスの効果」や「施策の効果」が検証しやすくなります。既にサービスを展開した段階で、データの把握方法や継続的な蓄積環境が作られているため、データを分析するための作業にかける時間を減らすことができ、リアルタイムでの効果の確認がより簡単になるからです。効果を検証しやすい環境を作ることで、より良いサービスや施策を生み出していけるのも大きなメリットといえるでしょう。
ビッグデータの実際の最新活用事例3選|身近な活用例も紹介
ここまでビッグデータの基本的な知識とその活用によるメリットをお話してきました。Google やFacebookといったWebサービス事業者がビッグデータを活用しているのは想像が付きますが、実は他の業種でも取り入れられています。
↓SNSに用いられるソーシャルビッグデータとは!↓
ソーシャルビッグデータ
1.飲食業×ビッグデータ【スシロー】
回転寿司最大手である「スシロー」は、飲食業界の中でも、いち早くビッグデータによるデータ分析を取り入れました。なんと、店舗に「回転すし 総合管理システム」を導入し、すべての寿司皿にICタグをとりつけ、レーンに流れる寿司の鮮度や売上状況を管理しはじめたのです。1分後と 15 分後に必要な握りネタと数を常に予測し、回転寿司でありながら、食べたい握り寿司をタイムリーに提供するシステムを可能にしたのです。このシステムの導入により、回転して時間が経った皿が減り、廃棄量は4分の1ほどに なった店舗もあるとのことです。スシローのケースのように過去の蓄積された膨大なデータにより、需要を予測することは、ビッグデータの代表的な使い方のひとつと言えます。需要を予測するということは、機会の獲得や無駄コストの削減につながるため、直接的な利益にも跳ね返ります。
2.オンラインショッピング×ビッグデータ【楽天】
楽天はビッグデータを活用した様々な分析・マーケティングを行っています。楽天の運営するインターネット・ショッピングモール「楽天市場」などでは、ビッグデータを用いて、購買データや、楽天グループサービスの利用傾向などを解析することで、高精度で広告のターゲットを定めています。あるテストでは、従来用いられてきた、類似製品の購買実績があるユーザー層のみに対する広告配信と比較して、ビッグデータとその分析によりターゲットを絞ってから、メール型広告やオフラインにおけるダイレクトメールの郵送、サンプリング施策などを行った結果、購買率が5倍以上となったこともあるそうです。ユーザーにとっても実際の趣向に近い商品の広告が配信されるので、お互いに有益なシステムです。
3.AI×ビッグデータ【自動運転】
AIとビッグデータは非常に近い関係にあります。上の2つの例も実はビッグデータによる大量のデータをAI技術によって解析しているのです。そんなAIですが、の中でも特に機械学習やディープラーニングの発展により、従来なら不可能であった膨大なデータの管理や解析が可能になったのです。そんなAIですが、近年最も注目されているAI技術の一つに自動車の自動運転があります。自動運転も多くの走行シーンのデータをデータベースに蓄積し、ビッグデータとして活用しています。例えば、晴れた日や雨の日、昼間や夜間などの走行シーンなど、色々なシチュエーションにおける映像データが蓄積してあり、ディープラーニングによってその場に合わせた走り方を学習できるのです。このように、ビッグデータの活用によってより安全な走行が可能になり、自動運転の技術が向上しています。
このように、ビッグデータは意外と私達の身の回りで使われてたりします。ただ一般の企業では、データの収集はできても、集めた大量のデータを活用できてない企業も多いです。そもそも必ず成功が保証されている技術ではないからです。そして、ビッグデータが結果を出し始めるにはある程度の年月が必要になるとも言われています。しかし、試行錯誤を繰り返して情報・ノウハウを蓄積していいき、ビッグデータをうまく活用していけば今より便利な生活が待っているかもしれません。
まとめ:ビッグデータのさらなる活用が見込まれる
この記事では、ビッグデータについて説明してきましたが、いかがでしたでしょうか。まだ、日本の企業で、ビッグデータによる大量のデータはあっても、その活用しきれていない企業も多いようです。そんな中、導入するかどうかに関しては各自治体や企業の慎重な判断が必要だといえます。
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