本記事では、組み込み開発についてご紹介します。組み込み開発とは何かという基本的な内容から始め、開発を成功に導くためのステップや組み込み開発の最新トレンド、さらには組み込み開発市場が抱える課題まで併せてご紹介します。本記事が、多くの読者・企業様の組み込み開発への理解を深めるための一助となれば幸いです。

 

組み込み開発とは?

そもそも組み込み開発とは何でしょうか?堅苦しい定義をおくとすれば、「特定用途に特化し、限定した機能の遂行を目的とした開発」と表現することができます。また、組み込み開発によって作られた機器のことを組み込み機器と呼びます。

上記の定義に従うとデジタルカメラやテレビなども組み込み機器に分類できるでしょう。デジタルカメラは撮影という目的に特化していますし、テレビは放送波の受信と表示に特化した機器だからです。

さらに、携帯電話や自動車、カーナビゲーションシステム、炊飯器、信号機、エレベーター、自動販売機、デジタルカメラ、テレビなど生活の周りにある電気製品のほとんどが組み込み機器と定義することができるのです。

 

組み込み機器とPCとの違いとは?

「組み込み機器」という名前が付けられているということは、何か他の機器と区別する意味合いが込められています。組み込み機器と対比して紹介される代表格が、ほとんどの人が所持しているであろうPCです。なぜなら、PCは「汎用用途向けに、多種多様な機能を果たす事を目的とした機器」と言えるからです。つまり、組み込み機器とPCの違いは、「特定用途向け」か「汎用用途向け」かという使用目的の違いということになります。

機能や価格の違い

PCのような汎用機器は、組み込み機器に比べて製品単価が高くなる傾向にあります。理由は明白で、PCは多種多彩な用途に対応する機能を搭載している一方で、組み込み機器はある特定の機能に特化しているためです。例えば、組み込み機器として温度計などを想像すると容易にイメージができるでしょう。温度計は1個あたり約1,000円などといった価格帯で購入することができます。つまり、組み込み機器は用途を限定することで、低価格を実現しているのです。

 

組み込み開発を成功に導く5つのステップとは?

ここまでは、組み込み機器とは?という基本的なことからはじめ、汎用機器との違いをご紹介しました。組み込み機器と汎用機器では使用目的が違うため、組み込み機器の開発は特別なステップを踏んで開発をすすめる必要があるのです。以下では、組み込み開発を成功に導くための開発手法を5つのステップに分けてご紹介します。

1. 組み込み機器に必要な機能を抽出

どのような製品開発にも言えることですが、まず始めに開発する機器に必要な機能を抽出する必要があります。特に組み込み開発では、特定の目的に特化した製品を開発するため、機能を抽出するフェーズの重要性はより一層高くなるでしょう。

2. システムの設計

システム設計のフェーズでは、まず必要となるソフトウェア、ハードウェアの洗い出しを行います。DVDレコーダーを例に考えると、ハードウェアとしては外部のテレビと接続するためのHDMI端子の接続口が必要となるでしょう。

そして、システム設計を経た後に、具体的にどのようなソフトウェア設計やハードウェア設計で開発を進めていくかを決定していきます。このように組み込み開発を行うエンジニアはソフトウェアだけでなくハードウェアに関する知識も求められるという点で、ソフトウェアエンジニアとは一線を画しているのです。

3. 実装

実装のフェーズではその名の通り、設計した通りに実装を進めていきます。組み込み開発のハードウェア実装では、回路図をベースに基板の製作、部品の実装を行います。一方、ソフトウェア実装ではプログラムの関数の実装を進めていきます。実装が完了すると、部品が搭載された基板が完成します。この時点で適切な接続がなされているかの確認を行い、基板に電源を入れることになります。

4. クロスデバッグ

このフェーズでは、本番の基板に本物のソフトウェアを組み込んで評価・デバッグ作業を行います。組み込み開発のデバッグ作業は、ソフトウェア開発のデバッグと異なりハードウェアの影響も考慮しなければなりません。このように、ハードウェアとソフトウェアの両方に対してデバッグを行うことをクロスデバッグと呼ばれています。クロスデバッグは一般にバグ発見作業が大変難しいのですが、それが逆に組み込み開発の醍醐味でもあり、技術者の組み込み開発への挑戦意欲を奮い立たせてくれるのです。

5. 環境試験

最後に、製品としての品質を確認するために環境試験を実施します。単純な比較はできませんが、組み込み機器はその特性上、ノイズ、温度などの環境が良くない場所に設置されがちです。製造現場など工場の中に設置される機械、車のエンジンユニットに設置する機械などを思い浮かべてみてください。そのような環境の中でも正常に動作する必要があるため、環境試験は組み込み機器を開発する上でも重要な評価項目であり、プロジェクトの鍵を握っているといえるでしょう。

 

組み込み開発の最新トレンドとは?

組み込みシステムの多機能化

組み込みシステムが様々な機械に搭載されるようになると、もっと便利にもっと多機能にという要求が次第に高まっていきました。組み込み開発が多機能に対応するとなると、実際に問題になってくるのがコストの問題です。生産コストが高くなると、当然、商品の価格も高くなってしまいます。こうなると商品の売れ行きはあまり期待できません。

プラットフォームの共通化

そこで、考え出されたのがプラットフォームの共通化です。近年では、組み込みシステムにLinuxやAndroid、Windows Embeddedといった、パソコン用のオペレーションシステムがプラットフォームとして採用されるようになりました。これらのOSは汎用のパソコンOSと同じで、リアルタイム性と多機能性を持つハイブリッドOSです。

組み込み開発におけるソフトウェア開発も複雑化してきています。特にスマートフォンの登場で、ネットワーク環境に対応するソフトウェアが要求されるようになりました。さらに、タッチパネルや認証システムなどのプロセスへの要求も高まり、グラフィックス性能を最大限に発揮させることも必要になってきました。現在のシステムエンジニア・システム技術者は、より高度なシステム構築が求められるようになってきています。

 

組み込み開発市場が抱える課題とは?

組み込み開発は近年大変注目を集めており、技術革新のためにはなくてはならないものとなっています。それに伴い、組み込み開発市場が抱える課題も浮き彫りになっています。以下では、組み込み開発市場が抱える課題をご紹介します。

需要の拡大

特に、IoTの分野が大きな成長を遂げていて、Google GlassやApple Watchなどに代表されるように、私たちが日常で身に着けるアイテムにもセンサーやマイコンが搭載され、インターネットにつながる時代が始まりました。こうした機器には当然、組み込みシステムが必要で、組み込み系エンジニアの需要は今後ますます広がっていくでしょう。

さらに、家電製品にはこれまでも組み込みシステムが搭載されていましたが、これらの機器もインターネットにつながるようになり、今後さらに高度な組み込みシステムが要求されるようになっていくことが予想されます。それに伴い、組み込み系エンジニアに求められる技術レベルや知識の幅広さは、ますます高まっていくでしょう。もちろん、開発案件数自体が増加していくことで、組み込み開発エンジニアに対する需要も増えていきますから未経験者に対しても転職のチャンスが広がっていくと思われます。

エンジニア不足

上記のような背景から、組み込み開発エンジニアに対する需要も増加している中、近年エンジニア不足が叫ばれています。原因の1つは、上記の組み込み開発のステップでもご紹介したように、組み込み開発エンジニアはソフトウェアエンジニアとは異なるスキルや知識が求められることです。

また、トレンドの開発言語を使用しないこともエンジニア不足の原因と考えられます。組み込み開発ではC言語を用いることが多いのですが、エンジニア内のトレンドとしてはJavaやPythonといった言語が広く利用されているのです。

 

まとめ

いかがでしたでしょうか?組み込み開発市場は売り手市場であり、多くのエンジニアや知見を持った人や組織からのサポートを必要としています。

私たちNashTechはグローバルで得た知見を元に多くのお客様の技術導入をサポートしてきました。本記事を読んで少しでも弊社にご興味をお持ちいただけましたら、こちらまでお気軽にお問い合わせください。