近年、ベトナムでのオフショア開発は「コスト削減」を目的として日本企業から人気を高めています。さらに、ベトナムでのオフショア開発は、コストメリット以上のメリットを生み出し始めているのです。今となっては、世界各国がオフショア開発先としてベトナムに注目するほどに至ってます。
本記事では、そもそもオフショア開発とは?という基本的な情報に加えて、なぜベトナムがオフショア開発先として多くの注目を集めているのか?ということを6つの理由と共にご紹介します。また、オフショア開発に失敗する理由も合わせてご紹介します。
そもそも、オフショア開発とは?
オフショア開発とは、ソフトウェア開発やWebシステム開発、スマホアプリ開発などを海外の開発会社や海外子会社にアウトソースする手法のことを言います。近年では、人工知能開発やブロックチェーン開発などの最先端技術までもオフショア開発の対象となっています。
日本企業におけるベトナムのオフショア開発
その中で、日本企業にとってベトナムでのオフショア開発は「ネクスト・チャイナ」として急成長してきました。中国の著しい経済成長による人件費の高騰だけではなく、政治的な問題や商習慣の違いから、中国からベトナムへとトレンドが移り変わっているのです。
日本国内でエンジニアリソースが不足しコストが高騰する一方で、ベトナムでは比較的安価で、国内日本と遜色のない品質の開発を行うことができます。実際、国内のエンジニア採用には多くの企業が頭を悩ませています。採用コストは安くなく、人件費も高騰しています。国内の開発会社の単価も高騰しているため、近年では多くの日本企業がオフショア開発を活用しています。
さらに、近年AIやブロックチェーン、VR/AR/MRといった先端技術のビジネスへの導入が世界で進む中で、ベトナムの大学と共同で先端技術の研究を進めるオフショア開発会社の開発技術は日本国内の開発会社と比較しても遜色ないものとなっています。そのため、現代ではオフショア開発を活用することが、日本企業にとってよりポピュラーな手法となっています。
ベトナムのオフシャア開発の単価とクオリティ
ベトナムのオフショア開発の平均単価は、ひと月当たり単価は32.26万円と言われています。
価格別の割合では、30~35万(29%)、34~40万円(21%)、25~30万円(19%)になっています。
かつては、日本国内とベトナム間の人件費差を活用してコストダウンすることが主な目的でしたが、現在ではコストメリット以上のメリットがベトナムのオフショア開発にはあるのです。
私たちNashTechは、オフショア開発によって得られるメリット・デメリットをまとめた記事も紹介しているので合わせてお読み頂けるとより深い理解の助けになると考えています。
合わせて読みたい:【失敗しないオフショア開発とは?】オフショア開発のメリット・デメリットから紐解く
ベトナムがオフショア開発拠点としてオススメな6つの理由とは?
1. 経済成長率と人口増加率

第一の理由は、ベトナムの圧倒的な経済成長率と若年層の人口増加率にあります。ベトナムは世界で最も経済成長率が高い国の一つであり、人口は9,000万人を超えています。また、人口の65パーセントは35歳以下であるのです。 経済は成長し若年層の人口が増加する中で、ベトナムには10万人以上のIT開発者と7万5千人以上のコンテンツスペシャリストがいます。
また、年4万人以上のIT専攻の卒業生がて、日本国内ではIT人材の不足が嘆かれる一方、ベトナムでは年々IT人材が増加しているのです。学生はコンピューターサイエンスに強い関心を持ち、西洋諸国の人々より早い年齢からコンピューターの世界に入っています。国際社会で必要とされる有能な人材が揃っているのです。
そしてこの10年の間で、オフショア開発を含めたベトナムのBPO業界は年20〜35%ずつ成長しています。ベトナムソフトウェア・ITサービス協会(VINASA)によると、この業界の収益の70パーセント、20億USドルは日本からもたらされているということです。
2. 欧米・アジアにとって便利な地理

オーストラリアや北米、ヨーロッパや英国などの主要経済大国にとって、東南アジアにあるベトナムは時差の面で便利です。営業時間内に連絡を取るのは難しくありませんし、いくつかの大都市から短時間のフライトでベトナムに行くことができます。アメリカやカナダのようなベトナムから遠く離れた国でも、ITアウトソーシングにベトナムを活用できます。
タイムゾーンが完全に違うために、アメリカやカナダの人々が寝ている時間に業務は完了するのです。 そして、アジア市場で無視することはできない日本と地理的にも文化的にも近いということは進出の決め手の大きな要因となりました。
事実、ベトナムのオフショア開発市場は日本からの発注が大きな割合を占めています。地理的な要因もオフショア開発の拠点として選んだ大きな理由となっています。
3. ベトナム政府主導でIT産業の成長に着力
ベトナム政府は IT産業の成長に非常に強い関心を持っています。ベトナム政府は一党制であり政治的に安定しています。国内の政治が安定しているということは社会が安定しているということも意味します。そのような安定した環境で、ベトナムはIT分野での外国投資と成長を促す政策を打ち出しています。つまり、外国企業の誘致に積極的になっているということです。
IT企業への税制優遇と助成金の支援は、外国企業がベトナムでビジネスを行う上で一貫性と信頼性があります。政治・社会が安定していないインドと中国でのオフショア開発は、ビジネス上のリスクがより高くなってしまう恐れがあるのです。
4. 世界オフショア開発市場1位(米国不動産企業調査)
世界有数の不動産サービス会社である米国クッシュマン・アンド・ウェイクフィールドの「Where in the world? Business process outsourcing and shared service location index 2016」によると、ベトナムは成熟したITアウトソーシング シング先の国々を凌駕してトップに立ちました。
ベトナムは同調祭において2016年には2年連続してパイオニア部門で世界のトップとなっています。より成熟したカテゴリーであるBPO提供の分野では6位の中国、11位のインドを追い抜き、差を付けています。
その大きな理由としては、ベトナムがコストパフォーマンスの高い国として総合1位であるということです。コスト削減だけではなく、クオリティに相対するコストパフォーマンスが他国のオフショア開発より圧倒的に良いのです。
コストはもちろん他国と比較して、かなり抑えることが期待できます。より高度なクオリティ求められる開発において、中国やインドと比べると最大で50%も低くなるのです。
5. 多分野の開発でのサービス提供が可能

プロジェクトの規模に関わらず、ベトナムは多岐に渡るITのスキルがあります。オフショア開発企業はスマートフォンアプリやゲーム、組み込みソフトウェア開発や人工知能開発、ブロックチェーン開発も行うことができます。
- 優れた製品設計
- 新しいプログラミング言語
- 新製品への独創的な研究開発
ベトナムの ITアウトソーシング能力は、オーストラリア銀行、シスコ、東芝、ソニー、パナソニック、HPなどの大企業から注目を浴びています。
6. IT教育への莫大な外国投資が集まっている

ベトナムのIT企業は、職業スキルを開発する組織と提携し、ベトナム人のIT開発能力に巨額の投資をしています。このような組織で最新のスキルを身につけさせ、外資企業が求める価値ある人材を輩出しています。
また、外国企業が投資しているのは高等教育だけではありません。社会的良心と先見の明を持つ企業は、ベトナムの子供こそが未来であり、子供の教育への投資が重要だということを知っています。若い世代へサポートすることで、ベトナムの強い経済・社会的未来が築かれています。
ベトナムの人々は強い職業倫理感を持っています。スキルや生活の向上のため、技術と語学の習得に余念がありません。ベトナムの優秀な人材は増え続け、ベストの人材を確保するためにグローバル企業は競争することになるでしょう。特に IT業務のアウトソーシング先として、ベトナムは人気が高まっています。
ベトナムでのオフショア開発に失敗する理由とは?
上述した通り、ベトナムオフショア開発市場は急成長を遂げており、日本企業向けの開発実績も続々と増えています。一方で、「オフショア開発起業に失敗する日本企業」が存在することも確かです。
では、その理由とは何でしょうか?答えは、コミュニケーションの問題が一番大きな理由を占めています。日本側に現地の人とコミュニケーションを取れる人材や体制が整っていない場合、言語や商習慣の違いでミスコミュニケーションが生まれてしまい、期待した納品物が上がってこないということがあります。
そのため、オフショア開発の際は自社の要望をしっかり把握して開発側に伝えてくれるコミュニケーターが必要となることは言うまでもないでしょう。
まとめ
いかがでしたか?ベトナムはIT産業を中心に世界でも急成長している国の一つです。その背景には国内の若年層の人口増加や政府の取り組み、外国企業の積極的な投資による教育改善などが挙げられました。さらに、私たちNashTechは近年のオフショア開発のトレンドをまとめた記事も紹介しています。
合わせて読みたい:【2019年版】ベトナムオフショア開発が注目を集める3つの理由とその課題とは?
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