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《2022年 世界デジタルリーダーシップ調査》IT支出、過去15年間で3番目の増加率

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2022年 世界デジタルリーダーシップ調査要約

  •  AIやビッグデータなどの新興技術への投資は鈍化し、イノベーションを脅かしている
  • サイバー攻撃が増加し始めたことにより、サイバー戦争に対する恐怖が劇的に高まっている
  • 大企業の半数以上がサイバー攻撃の被害を受けている
  • 賃金の要求が持続できなくなるため、技術系人材の不足は過去最高に達している
  • ハイブリッドワークの影響もあり、テクノロジー業界で働く女性の職場環境は良くなってきている

デジタルリーダーの87%が景気後退を予想しているにもかかわらず、今年の世界のテクノロジー支出は過去15年間で3番目増加率となると予想されています。加えて、半数以上 (52%) のデジタルリーダーがテクノロジー予算の増加を予想しており、わずか12%が予算の削減を予想していることが、テクノロジー業界のリーダー達を対象とした世界最大かつ最長の調査結果によって判明しました。

CIONETと共同で発表した、Nash Squared Digital Leadership Reportによると、AI やビッグデータなどの新興技術への投資が鈍化しており、世界的な経済の不安定性によってイノベーションの機会が脅かされていることがわかりました。クラウドへの投資は引き続き堅調ですが(63%が大規模な利用を報告)、イノベーションを起こし、競争優位を得るための鍵となる他のあらゆるテクノロジー(ビッグデータ、AI/ML、RPA)への投資を削減する企業が増えています。

 

サイバー攻撃の被害について

クラウドへの巨額の投資が行われる一方で、デジタルリーダーの3分の1以上 (特に大規模な分散型組織の場合) が、「クラウドが複雑化している影響で、クラウドのセキュリティが悩みの種になっている」と報告しています。最大手企業(IT予算総額2億5000万ドル以上)の半数以上(52%)が、過去2年間に大規模なサイバー攻撃を受けたと報告しています。一方、世界的な不安とサイバー戦争をめぐる政治問題化の意識の高まりにより、デジタルリーダーの3分の1以上(40%)が外国勢力からの攻撃を恐れており、2018年のわずか12%から急上昇しています。

またレポートによると、次のようなことも分かりました。

  • サイバー人材の不足は、デジタルリーダーにとって引き続き重要な問題である – サイバー・スキルは、世界で2番目に求められているテクノロジースキルです。このような人材不足とサイバー脅威の増大により、デジタルリーダーの3分の1(29%)しか、全てのリスクをカバーできていると感じていないのが現状です。
  • 人材獲得競争と給与要求の適正化が大きな課題として浮かび上がっている – デジタルリーダーの70%が、スキル不足のために変化のスピードについていけないと回答しており、これは過去最大の記録となりました。また、62%が「テクノロジー人材は決して十分ではない」と考えており、同数の60%が「生活コストの上昇により、賃上げ要求ができなくなった」と感じています。
  • 政府の政策が技術スキルの向上に寄与していない – 驚くべきことに、デジタルリーダーの74%が、政府の政策はスキル不足に対する取り組みにおいて非効果的だと感じているのです。
  • ロボット:技術者市場のギャップを埋めるための手段 – デジタルリーダーは今後5年間で、平均して従業員の約6人に1人(16%)をデジタルレイバーで自動化する予定です。
  • ハイブリッドワーク・リモートワークが、テクノロジーの業界で働く女性やグローバル人材へのアクセスを後押しする – テクノロジーの業界ではハイブリッドワークが当たり前になっており、週に2〜3日オフィスにいることが平均的な条件になっています。このことは、世界のテクノロジー部門における女性の割合に良い影響を与え始めています。女性のリーダーは世界で14%に増え、チームのほぼ4分の1(23%)が女性になり、過去2年間の新規採用者の28%が女性になっています。パイプラインはゆっくりと、しかし確実に改善されています。また、デジタルリーダーの4分の1(26%)が、リモートワークによって海外からの人材採用を開始できるようになったと回答していることも明らかになりました。

 

「経済的な逆風が強まり、指標はマイナスに転じていますが、それにもかかわらず、あるいはそれが原因で、企業はテクノロジーへの投資が依然として重要であることを認識しています。すでにあるものを最大限に活用し、予測不可能な状況下でより機敏に対応するために、テクノロジーは重要な役割を担っているのです。しかし、テクノロジーへの投資意欲が過去15年間で3番目に高い水準にあるものの、AIやビッグデータなどの分野への投資を控える企業も出てきています。この理由は理解できますが、そのような投資をあまりにも削減し過ぎると、ペースを大幅に落とすことになり、再び追いつくことができなくなってしまいます。

一方、継続的な投資が必要な分野として、サイバーセキュリティが挙げられます。脅威環境は非常に厳しく、外国勢力の活動に対する懸念の高まりは目を見張るものがあります。2022年、世界はより危険な場所となりました。それに応じて、企業は強力な防御策を講じなければなりません。」

投資意欲は依然として高く、58%の企業が広範なスキル不足を背景に2023年にテクノロジー部門の人員を増加させると予想していることから、Nash SquaredのCEOであるBev White氏は、次のように付け加えました。

「ビジネスは人で成り立っています。しかし、テクノロジー部門では、人を十分に確保することができません。スキル不足は今に始まったことではありませんが、改善されるどころか、悪化しているという点は懸念すべきです。しかし、私たちの調査で分かったことは、企業はこの課題を解決するために革新的な手段を講じているということです。つまり、優秀な人材を集めるために求人依頼を再設計し、国境を越えて国際的に活躍する優秀な人材にアクセスしようと考えているのです。また、より多くの女性をテクノロジーの分野に引き込むための取り組みも強化しています。ここにきて進展が見られるのは心強い限りです。この業界は、ジェンダーバランスの改善というとても重要な課題に向けて少しずつ前に進んでいるのです。」

Nash SquaredのCEOであるBev White氏のコメント

持続可能性(サステナビリティ)について

今年は、テクノロジーの分野における持続可能性がより大きな役割を果たすと期待されていましたが、ほとんど変化がありませんでした。デジタルリーダーの4分の1(23%)は、2022年に持続可能性が果たすべき役割はごくわずかか、まったくないと考えており、自社の二酸化炭素排出量を測定するためにテクノロジーを活用している企業は、同程度の数(22%)にすぎません。レポートでは、デジタル・リーダーが問題から目を背けているのか、それとも取締役会がこのことに焦点を合わせていないのか、と問いかけています。クラウドへの移行は、企業が技術運用におけるエネルギーの使用量を他人(クラウド事業者)の問題とみなすことを意味するのでしょうか?

 

データの可能性とは

レポートで強調されたもう一つの課題は、データの可能性を追求することです。デジタルリーダーのほぼ3分の2(64%)が、来年にはビッグデータとアナリティクスが競争において優位性をもたらす技術の上位2つに入ると考えています。しかしながら、より多くの収益を生み出すためにデータインサイトを活用することが「非常に」または「極めて」効果的だと感じているのは5分の1(21%)にとどまっています。どちらの数値も昨年のレポートに比べて減少しており、「ビッグデータ」がその複雑さを含め、あらゆる意味で大きくなっていることが示唆されています。もう一つの課題は、適切なスキルの獲得です。デジタルリーダーの43%が、この分野のスキル不足に悩まされています。

 

リモートワークとハイブリッドワークの実現

パンデミック時に急速に展開されたリモートワークやハイブリッドワークモデルは、今後も継続されるでしょう。テクノロジーチームのワークライフバランスが大幅に改善されることは、ハイブリッドワークの導入によって得られた最大のメリットと言えるでしょう (デジタルリーダーの64%が改善を報告しています)。しかし、ハイブリッドワークに関する良いニュースは、より複雑になっています。

  • 生産性の低下 – 10人中4人以上がハイブリッドワークによって生産性が向上したと回答していますが、この結果は昨年と比較すると減少しています。
  • メンタルヘルスの向上 – ハイブリッドワークによって悪化したと言われているメンタルヘルスは依然として問題ですが、デジタルリーダーたちは昨年と比較してわずかに改善したと報告しています。

「目まぐるしい変化の中で、組織が人材提案と人材戦略の最適なモデルを見つけるには、どうしても時間がかかります。リモートワークやハイブリッドワークは多くのメリットをもたらしていますが、時間の経過とともにそれが緩やかになる兆しがあります。また、メンタル面の課題も依然として残っており、非常に懸念されるところです。つまり雇用主は、「リモートワークの柔軟性」と「出社することによる生産性や創造性の向上」の適切なバランスを見つけるために、自社のワークモデルについて真剣に考え続けなければならないのです。多くの企業は、福利厚生の充実や無制限の休暇制度など、自社の制度を再構築しています。何が必要かを正しく理解し、柔軟に対応できる企業は、自社だけでなくそこで働く人達にとっても有効な解決策を見つけることができるのです。」

Nash SquaredのCEOであるBev White氏は、次のように締めくくりました。

レポートについて

「2022 Nash Squared Digital Leadership Report」は、テクノロジーの意思決定者を対象とした世界最大かつ最も長い歴史を持つ調査です。1998年に開始され、以前はCIOサーベイと呼ばれていたこの調査は、20年以上にわたりテクノロジーとデジタルの主要トレンドの指標として影響力を持ち、高い評価を受けてきました。今年は2022年7月20日から2022年10月10日にかけて、82カ国で1785人以上のデジタルリーダーを対象に調査が実施されました。

結果のコピーをご利用の方は、https://www.nashsquared.com/dlr にアクセスしてください。

 

 

Nash Squaredについて

Nash Squaredは、人材とテクノロジーに関するソリューションを提供する大手グローバル企業です。

私たちは、人とテクノロジーが出会うことで生まれる可能性を実現するために、独自のネットワークを備えています。私たちは30年以上にわたり、お客様の広範かつ複雑な問題の解決を行い、テクノロジーとデジタル機能を構築および変革するのを支援してきました。

www.nashsquared.com

 

 

CIONETについて

2005年に設立されたCIONETは、現在世界最大のCIOのプライベートネットワークとなっています。アジア、ヨーロッパ、アメリカ大陸の25カ国で、先進的なコミュニティを確立しています。各国の諮問委員会の積極的な支援により、1万人のテクノロジー部門の管理者や責任者からなる活発なコミュニティを構築してきました。

https://www.cionet.com/

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